2006年6月30日 (金)

消費税に対するマルサの告発が過去最高

このたび国税庁が公表した「平成17年度における査察の概要」で、消費税の脱税件数が過去最多だったことが話題になっています。

「査察」とは、国税庁や国税局の査察部(調査査察部)が行う犯則調査のことです。通常の税務調査と異なり、大口・悪質な脱税をした者を対象に、強制力と罰則をもって脱税を摘発することを目的にしています。

公表によると、平成17年度における査察の着手件数は217件(前年度より7件増)で、そのうち告発された件数は150件(同2件減)でした。総脱税額は274億16百万円となっています。

注目されているのは、消費税の告発件数が増加していることです。平成17年度の10件は過去最多で、前年度よりも4件増えています。その事例としては「人材派遣業では人件費を外注費に科目仮装することによる消費税の脱税が多く見られた」とのこと。免税となる輸出取引を悪用した脱税事例もあるようです。

消費税については、最近の増税論議の影響もあって納税者の関心が高い上、「益税(益税論自体が疑問です。)」などへの批判も多く取り上げられています。また、預り金的な性格(一般的にはこのように表現されることが多いのですが、もちろん預かり金ではありませんし、税法学的に言えば不適切な表現です。)の強い消費税は、事業者が目先の運転資金に充ててしまうケースが多いのも事実です。こうしたことから、課税当局が消費税の調査、査察を強化しているとも言われています。

しかし、国税庁が他に公表している法人調査、個人調査の数字を見ると、消費税の調査件数が特に増えているわけではありません。今回の査察件数の増加は、大口、悪質な脱税への摘発強化といった意味合いの方が強いと思われます。

ただ、平成16年度の消費税法改正で新たに課税事業者になった事業者については、その課税状況に対して課税当局が関心をもって見ているようで、今後、これらの事業者に対する税務調査が増える可能性があります。

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2006年6月27日 (火)

非常勤役員に対して支給する年俸の取扱いに注意

最近、今年度税制改正において規定された「事前確定届出給与の損金算入」について、非常勤役員への報酬に対する取扱いが話題になってきています。

「事前確定届出給与」は、一般的には従来の「役員賞与」と解されています。これまで役員賞与は利益分配の意味合いが強く、職務の対価としての役員報酬とは性格が異なるという課税当局の見解により、損金には算入できませんでした。

ところが、5月施行の会社法において、役員賞与も役員報酬と同様に職務の対価であるという見解が出されたことから、課税当局では「報酬と同様に支給時期と支給額が事前に確定している役員賞与」なら損金算入を認めると解釈をあらためたわけです。

しかし、中小企業において役員賞与を支給しないのが普通です。わざわざ損金に算入できない役員賞与を支払うよりも、その分を損金算入できる役員報酬に加えてしまった方が得だからです。つまり、このような中小企業では事前確定届出給与は意味がないように思えます。

ただ、注意すべきは非常勤役員の取り扱いです。中小企業でも社会保険の都合や節税対策として、奥さんなどを非常勤役員としているケースがあります。そして、非常勤役員への報酬は毎月ではなく盆暮れなどに支払われることがあります。いままで、この報酬は当然のように損金に算入できました。

ところが、今後は1ヶ月を超えた期間で支払われる役員への報酬は、「事前確定届出給与」の届出をしないと損金に算入できなくなってしまいます。この届出は事業期間開始後3ヶ月以内が期限ですから、早めに確認しておいた方が良いでしょう。

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2006年6月24日 (土)

売上割戻しの支払い時に注意すべき事

売上割戻しとは、一定期間に多額、多量の取引をしてくれた得意先に売上代金の一部を戻すものです。リベート、または販売奨励金とも呼ばれ、一般的に良く使われている販売促進策です。

税務上、売上割戻しは収益(売上)のマイナスとして処理する場合と、経費(販売促進費)として処理する場合があります。一般的に注意しておく点としては、交際費と認定されないようにする事です。そのためには、契約等で売上割戻しの基準を明らかにしておくか、売上割り戻しについての基準を定めた社内規定や取締役会議議事録を準備しておくこと。

なお、基準が定められていたとしても、その支払方法が金銭ではなく取引先を旅行や観劇に招待した場合、事業用資産または少額物品(概ね3000円以下)以外の”モノ”で支給した場合などは交際費になります。また、特定の担当者や役員に対して支払われた売上割戻しも交際費になります。

ところで、売上割戻しの別名であるリベートという言葉には悪いイメージもあります。もちろん、正当なリベートは立派な商取引なのですが、政界や取引先の特定担当者に対する裏工作費用などもリベートと称されているからです。しかも、それは意図的に行った場合に限るわけではありません。

たとえば、支払う側は正当な基準に従って売上割戻しを行った場合でも、受け取る側が正当な処理をしない場合があります。平たく言えば、その担当者が懐に入れてしまう場合などです。こうしたケースでは、税務調査時にその売上割戻しについて反面調査が実施され「実態が無い」と指摘される可能性が出てきます。

こうしたケースに備えるためには、「売上割戻し代金として」と記載された領収書等を取引先に交付してもらうのが有効です。

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2006年6月21日 (水)

厳しく見られる? 改正された役員給与に係る税務

今年度の税制改正で役員給与の取扱が大きく変わりました。その中でも特に注目されているのが「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」と「事前確定給与の損金算入」の両税制です。

この両税制については、申告者や届出書の様式も明らかになったことから、現在は実務面や効果面、また対策手段などが議論の中心になりつつあります。しかし、内容が分かれば分かるほど、両税制の複雑さや煩雑さも気になってきます。

まず、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」ですが、オーナー一族が全株式の90%以上を占めるなどの要件を満たした場合、オーナー給与の一定額が損金不算入になる制度です。法人税法35条にあたるのですが、その条文は専門家の間でも解釈が分かれるほど複雑です。また、対象企業は別表14(1)とその付表を申告時に添付することになりますが、その申告書の内容も複雑で実例が整うまでは予断を許しません。

一方の「事前確定給与の損金算入」は、従来の役員賞与について事前に支給額等を税務署に届けていれば(=事前確定給与)損金算入を認められる制度です。問題はこの届け出。必要な様式が3種類もあって、事前確定給与だけではなく、それ以外の給与についても支給する「年月日」ごとに前期と当期の2年分を記載しなければなりません。また、事業年度開始後3ヶ月以内が提出期限で、支給日や支給額の変更は許されないようです。

実は、両税制は会社法にあわせて用意された税制です。つまり、課税当局主導で導入された税制ではありません。そのため、両税制がこれだけ複雑なのは、「厳しく見ますよ」という課税当局のメッセージともとれるのです。

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2006年6月15日 (木)

取締役一人会社になる場合は役員退職金で節税を

会社法においては、取締役一人での会社運営が譲渡制限株式会社に限って認められるようになりました。取締役一人会社になれば、取締役会を開く必要がありませんので、経営のスピードが図れるとともに、取締役会議事録の作成など余計な事務処理等も省略できます。役員が減れば役員給与も節約できるかもしれません。

実は、オーナー社長が実権を100%握っている中小企業の場合、実態は取締役一人会社と同じです。つまり、会社法のこの規定は形式を実態に合わせた改正ともいえるのです。

取締役一人会社になるためには、株主総会で定款を変更する必要があります。また、一般的にはその株主総会において従来の取締役は辞任することになります。その上で、その株主総会の議事録と変更した定款を用意して登記をすればいいわけです。

この場合、悩むのが辞任した取締役に役員退職金を支払うかどうかです。当然、一般的には役員退職金を支払うのが普通です。しかし、その取締役が身内、つまり奥さんや子供の場合は「財布は一緒」のケースがあるため、あまり意味がないと考えてしまいがちなのです。

しかし、役員退職金は必要経費として損金に算入できます。つまり、会社が黒字であれば支払った分の節税効果が期待できるのです。また、資金繰りが苦しい場合でも、株主総会で決議すれば分割払いも可能です。

ただ、だからといって、あまりにも高額な役員退職金を支払うと「過大な役員退職金」として過大分の損金算入が認められないので注意が必要です。また、身内の場合には「過大な役員退職金」と認定されるリスクが高いため、それに備えて「役員退職金規程」または「株主総会議事録」の用意も必要になります。

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2006年6月 7日 (水)

情報基盤強化税制の使い勝手は?

 このたび、経済産業省が「産業競争力のための情報基盤強化税制について」の情報ページを同省のホームページ内で立ち上げました。これは、平成18年度税制改正で、従来の「IT投資促進税制」(廃止)に代わって登場した「情報基盤強化税制」についての情報ページですが、税制の説明はもちろん、導入のためのQ&Aも用意されているなど、なかなか良い情報ページになっています。一度、ご覧になられると良いでしょう。

 情報基盤強化税制は、青色申告を行う法人や個人事業者がセキュリティの国際基準「ISO/IEC15408」をクリアしたOSやデータベースを導入した場合、同時に設置したサーバーやソフトウエア等を含めて、税額控除(10%)または特別償却(50%)を選択できる制度です。IT投資促進税制との大きな違いは、対象機器が絞られたこと、資本額によって必要な年間投資額が定められたこと、そして「ISO/IEC15408」クリアという基準が設けられたことなどです。

 この「ISO/IEC15408」という基準があるために、この税制を難しいと考えている人は多いようですが、一般的なコンピュータで使われているOS(WindowsXPなど)やデータベース(オラクルなど)は、既にこの基準をクリアしています。実は、この条件をクリアするのはそれほど難しくありません。

 むしろ問題は、必要な年間投資額が定められたことです。たとえば資本金1億円以下の企業なら年間300万円(リースなら420万円)以上の設備取得が求められるのです。比較的に設備投資額の少ない中小企業にとっては、利用効果は多少落ちますが「中小企業投資促進税制」の方が使い勝手が良いかもしれません。

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持株会設置でオーナー給与の損金不算入を回避。

 現在、今年度の税制改正で導入されたオーナー給与の一部損金不算入措置について、その対策法がホットな話題になっています。詳細が明らかになるにつれて、その影響額(増税額)が場合によっては予想外に大きくなることが分かってきたからです。

 同措置はオーナーとその特殊関係者が全株式(出資)の90%以上を占めている場合に対象になります。そこで、当初は友人や取引先などに株式を引き取って貰えば回避できると割と安易に考えられていました。

 しかし、税務当局もそれほど甘くはありません。その株式の議決権が実質的にオーナーにあると認められる場合は、オーナーの保有する株式と「みなす」と政令で定めているのです。つまり、同措置回避を目的とした単なる名義貸しの株式譲渡は認めないということです。

 そこで、次なる対策として考えられるのが従業員持株会への株式譲渡です。従業員持株会は一般的に従業員の福利厚生や意識高揚を目的として設置され、オーナーにとっても会社の支配権を保ちながら、相続税の節税対策を行うことができるなどの利点があります。株式の譲渡制限を定めておけば、第三者に株式が流れる心配もありません。

 また、オーナーが従業員持株会に株式を売却する場合の価額は、一般的に「配当還元価額」により評価されます。配当還元価額では、過去2年間の年配当額が額面の10%であれば売却価額は額面と同じになります。通常、非公開株式会社のオーナーの出資額は株式の額面価額×保有株式数なので、額面以下で株式を売却すれば譲渡所得課税を受ける心配はいりません。

 ただ、従業員持株会の維持等の費用もかかりますので、この方法を選択するには総合的な判断が必要になります。

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2006年6月 2日 (金)

相続税を支払う人が増える?

 財産を相続することになっても、相続税について悩む人はそれほど多くはありません。それもそのはず、現在の相続税制のもとでは、相続時に相続税を支払うことになる人は100人に4人しかいないのです。
 その理由は、相続税には大きな基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)があるからです。たとえば、相続する人が配偶者1人と子供2人のケースでは、5000万円+1000万円×3人の合計8000万円まで相続税は課税されません。たとえ、子供一人が相続するケースでも6000万円までは相続税は課税されないのです。

 これについて、政府税制調査会(首相の諮問機関)が「是正すべきだ」との声を上げました。23日に行われた総会において、各委員から「世代間をまたぐ富の集中は排除すべきだ」「経済格差を固定化するのは良くない」などの声が相次ぎ、その結果、中期的に相続税の基礎控除を引き下げる方針が全会一致で決まったそうです。

 1988年まで相続税の基礎控除は2000万円+法定相続人1人あたり400万円(最高税率75%)でした。それが徐々に見直されて、基礎控除額は現在の水準となり、最高税率も50%に引き下げられました。これは、バブル期の異常な不動産高騰により、高額な相続税を支払らわなければならなくなった人が増え、それに伴う不幸な出来事が続出したためと言われています。また、バブル期以降も、景気回復策として相続税は軽減され続けたのです。その結果、1987年には1兆4343億円あった相続税収が、2004年には1兆651億円まで落ち込んでいます。

 しかし、現在は土地の価格も落ち着き、景気も上向き加減です。もう相続税について遠慮する期間は終わったというのが政府税制調査会の本音かもしれません。

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2006年5月31日 (水)

5000円飲食費の取扱いがQ&Aで明らかに 国税庁

このたび、国税庁は「交際費等(飲食費)に関するQ&A」を公開しました。これは、今年度税制改正で定められた5000円以下の飲食費を交際費の範囲から除く処置に関するものです。

5000円以下の飲食費を交際費から除く規定は、平成18年4月1日以降に開始される事業年度から適用されます。具体的には、1人当たり5000円以下の「飲食その他にこれに類する行為」(社内飲食費を除く)については、必要な要件を記録しておけば、その目的に関わらず交際費にはならないという制度です。

今回の国税庁の公表した「交際費等(飲食費)に関するQ&A」は、その細かな取扱いを明確にしたものです。
 たとえば、「飲食その他にこれに類する行為」についての項目では、得意先の行事等に差し入れる「弁当」や飲食店で提供された「お土産代」は対象となりますが、単に飲食物を贈答する行為は対象とならないことが明らかになっています。

その他、得意先等が1人でも参加していれば、社員が相当数参加していても社内飲食費とはならない(得意先等の参加が形式的なものである場合を除く)ことや、1次会と2次会は別々にこの制度を適用しても良いことなども明らかになっています。

ただ、気になる点が一点あります。会議に際して5000円超の飲食費が生じた場合の取扱いについて、その5000円超の金額が「通常要する費用として認められる」ものであれば会議費として認められるということが書かれています。これについては、従来、3000円が会議費と交際費の分かれ目といわれていただけに、どのような意図で書かれたものなのかが少し気になるところです。

交際費等(飲食費)に関するQ&A(PDF)

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交通違反の反則金は損金算入できない。

6月1日より道路交通法の改正により、駐車違反の取締りが民間に委託されます。また、それに伴って駐車違反に対する判断や反則金の徴収も厳しくなります。悪質・危険運転者に対する罰金や違反点数等も大幅に引き上げられました。

ビジネスにおいて自動車を利用している事業者は多いと思いますが、今後は社員等に対して十分な周知と徹底が必要になるのではないでしょうか?

これまで、駐車違反は警察官が違反を確認してから実際に取り締まるまでに若干のタイムラグがありました。しかし、6月1日以降は、運転手が自動車を離れた時点で取締りの対象になります。反則金も、運転手が支払わない場合は車検証に記載されている使用者に違反金の納付が命じられます。

また、酒気帯び運転の罰金が5万円以下から30万円以下に引き上げられるなど、悪質・危険運転者に対する罰金が大幅に引き上げられています。

法人税法上、法人が業務の遂行に関連して為された行為に対して課された罰金等については、損金に計上できないことになっています。交通違反の反則金もこれに含まれますから、社員等が業務中に起こした交通違反の反則金を会社が支払った場合、その反則金は損金にはできないわけです。

なお、その交通違反が業務以外で起こしたものであれば、会社が支払った反則金は違反を起こした社員や役員の給与になります。たとえば、社用車を個人的用途に利用していた場合などがこれに当たるわけですが、この場合の給与については、社員に対するものであれば損金算入できますが、役員の場合は損金にはできませんので、さらに注意が必要です。

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